十五夜(中秋の名月)のすすきの意味は?お月見のお供え物について

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全国に広く分布する「すすき」は、日本人なら知らない人はいないほど身近な植物の1つです。古くは万葉集にすすきの和歌が数多く収録され、源氏物語や枕草子などにも描写が出てきます。現代でも秋のどこか物寂しいイメージとして、多くの方が野原に群生する黄金色のすすきを連想するのではないでしょうか。しかし、十五夜にすすきを飾る理由については意外と知られていません。ここでは十五夜のすすきの意味やお月見のお供え物についてご紹介します。
 
十五夜(中秋の名月)とは
中秋の名月の祭事はもともと中国から伝わり、日本では平安朝以降に貴族の間で盛んに催されました。江戸時代には一般庶民の間でも広く行われるようになり、次第に現在の形に変化しています。では、十五夜(中秋の名月)とはいつでしょうか。旧暦では秋を7月~9月としており、旧暦7月を「初秋」、旧暦8月を「仲秋」、旧暦9月を「晩秋」と区分しました。「仲秋」が旧暦8月の全体を指すことに対し、「中秋」は秋全体の中日を意味し、旧暦8月15日のみを指します。現代では旧暦と暦の数え方が異なるため、年によって十五夜の日が異なりますが、およそ9月の中旬~10月上旬に訪れます。
 
稲穂の代わりとしてのすすき
月の満ち欠けなどを用いて暦を計算した旧暦では、人々の生活と月は密接につながっていました。特に農作業に従事する人々は欠けたところのない満月を豊穣の象徴とし、秋の収穫の感謝を込めて芋や豆などの収穫物を月に供えました。しかし、稲穂はまだ穂が実る前の時期であることから、穂の出たすすきを稲穂に見立てて飾ったと言われています。
 
魔除けとしてのすすき
古くからすすきは神様の依り代と考えられていました。茎が中空(内部が空洞)のため、神様の宿り場になると信じられていたのです。また、すすきの鋭い切り口は、魔除けになるとも考えられました。そのため、お月見のすすきには悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味が込められています。地域によってはお月見に飾ったすすきは捨てず、庭や水田に立てたり、軒先に吊ったりして、災いから田や家を守る風習が今でも残っています。
 
お月見の定番「月見団子」
月見団子はその名の通り、丸い団子で月を表現していると言われています。 また、十五夜は別名「芋名月」とも呼ばれ、里芋やさつまいもなどの芋類を供える地域があります。これは稲作以前の、里芋などの芋類を主食として食べていた頃に、十五夜に秋の収穫物である里芋を供えていた名残である説が有名です。つまり、十五夜に団子を供える理由は、里芋に形を似せるためでしょう。月見団子や芋類の他には枝豆や栗、果物などの秋の収穫物や水・酒などもお月見のお供え物として飾ります。お供えした食べ物はお月見が終わってから食べましょう。お供え物を体に取り入れることにより、健康や幸せを得ることができると考えられています。植物ではすすきに加え、ワレモコウやオミナエシなどの秋の七草も飾ります。
 
現在では、十五夜を楽しむ風習は薄れているかもしれません。昔の日本人と現代の日本人の生活様式は異なるため、仕方がないことです。しかし、空気が澄んで1年で最も月が美しく見える日が十五夜(中秋の名月)です。どれだけ時代が変わっても月の美しさだけは変わりません。すすきなど秋の植物を窓辺に飾り、月を見上げて名月の美しさを感じてはいかがでしょうか。
 

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